遥かなる君の声
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     〜なんちゃってファンタジー“鳥籠の少年”続編
 



          



 この隠れ里の民たちの代表格、惣領様や彼を支える長老たちにしてみても、誇り高き老騎士シェイド公が持ち込みしグロックスに刻まれてあった紋章を目にし、揃って息を飲んでしまったのは言うまでもなかったらしい。口伝の中にしか痕跡がない伝説の一族の紋章。実在したのかさえ判らず、単なる象徴、若しくは物語的な作為によって生まれし英雄たちかもという説もありはしたらしいが、外部から持ち込まれたものへの刻印とあっては、彼らの実在説を色濃く支えたに違いなく。

  「あのグロックスにも刻まれてあった紋章は、
   フレイム・タナトス、双焔の紋といい、
   陽白の一族に寄り添いて仕えし、戦いの一族、
   炎獄の民の掲げていた紋章だと言われております。」

 唐突、且つ凶悪な強襲を、堅牢な守りを誇る筈の王城キングダムの首都主城のみならず、こちらもまた永の歳月、外界からの侵入者を拒み続けて来た筈の、アケメネイの聖域を守りし隠れ里にまで仕掛けていたらしき手ごわい賊たちは。突入への手際のよさ、撤退の俊敏さ、精鋭を相手に少人数にて翻弄し切った鮮烈なまでの格闘技に至るまで。小癪なほどに凄腕でありながら、それにしては…素性にまつわるそれだろう、特長的な痕跡を惜しげもなく様々に残してもいて、
“奴らの本質が、果たして善か悪かってのの取り沙汰は置くとしても。”
 いきなり大胆な前提ですが、まま、それもまたしようがない。暢気にも正義とは何ぞやと論を展開させていられるような余裕はない状況。…かといって。どんなに乱暴であれ正義の使者が緊急避難的にやってることだから、だから大目に見られるだろう、咎められはしなかろうと思っての狼藉…という解釈は、さすがに少々無理がある粗暴さでもあり。だっていうのに、こうまで大胆にも無頓着なのは、
“自分たちの行動を遮ることが出来る者なぞ居はしないという、絶大な自信があるからこその不用心さなのかもな。”
 無論、たいそう綿密周到であったろうことへも察しはいくが、それを軽々と凌駕し、こちらを見事なまでに翻弄したのが、個々人の運動能力や経験値が至っていたらしきレベルの高さ。現に叩き伏せることが出来なかったのが、何とも口惜しいと思い出してしまった蛭魔が、ついのこととてその口許を歪めた。疾風怒涛、一気呵成。雪崩を打っての強襲を仕掛け、そりゃあ鮮やかに撤退してった賊たちの思惑は、相変わらずに不可解なままだが、そんな彼らが遺した言動や痕跡が数ある中でも一番に目立つ存在が、あの意味深な紋章のついた大きな砂時計で。それを所持していたところを目撃されたのを最後に行方を晦ませた白き騎士、進清十郎の謎の失踪に関わるアイテムだったそれが、選りにも選って当の賊らが“返してもらいに来た”とわざわざ教えてくれたことから、進の失踪もまた彼らに関わりがあるものとして話がつながり、そして今また、重要な意味を持つものであるらしいことが明かされようとしているところ。
「炎獄の民については、葉ば…ご子息からも少しは伺っているのですが。」
 下界に降りて金のカナリアを捜し出すという、その使命が達成されたにも関わらず。昨秋からのずっと王城に留まっていてくれた、聖地からの使者にして、この惣領殿の次男坊。彼が幼い頃に聞いたおとぎ話に出て来た一族の名とその紋章を思い出し、その一致によって…何かしら曰くのありそうな連中であるらしいというアタリを、つけることが出来てはいたものの。正体不明の謎めいたアイテムへの刻印は、彼らの武勇伝の数々にあやかろうとした誰かが戯れに為したものだったのだろうかと。そんな程度のものかもと思わないではなかったものが、訪ねた先のこちらでも…妙な形で息を吹き返していようとは。
「彼らは神話の時代に滅びた存在、の筈だそうですが。」
 このアケメネイがそうであるように“陽白の一族”にまつわる存在でありながら、向こうはもう生き残りは居ないだろうとされてもいるという。そうでありながら、今こうしてその名が再び暗躍しだしたとなると、気になる点は多々あって。

  「戦いの才能を讃えられ、現代にまでその伝承が語り継がれたほどの存在が、
   何故また“一度に滅んだ”とされているんでしょうか。」

 一種の娯楽、文学的な物語としての傾向も強い“神話”やおとぎ話は、とはいえ…どれほど神憑りな内容であっても、全部が全部を虚構だの作り話だのと決めつける訳にもいかない。例えば、東の和国の神話には、闘神が退治したとされる途轍もない大きさの大蛇が現れるが、それはもしかすると噴火した火山からあふれ出た熔岩のことではないか、退治された大蛇の尾から出たとされる神剣は、そこから始まった鉄の精錬事業のことを示唆しているのではなかろうか…という解釈が出来るのだそうで。

  “ましてや、この大陸には、いまだに奇跡の力が現存・実在してもいる。”

 物理を越えた、言わば“超自然”な現象のみならず、それを操る能力までもが、いまだに“あっても不思議ではないこと”としての地位を保ち続けている。よって、その“神秘”の大元とされている“陽白の一族”の実在も疑われないのと同様に、彼らにまつわる話である以上、炎獄の民とやらの存在もまた、名前のみとなってさえ言い伝えられていること自体に不審はないものの。

  ――― では何故、滅んだ事由には触れられていないのか。

 英雄、若しくはその師とされ、戦いに於いて相当に頼りにされて来た人々であったらしいのに、そんな彼らさえ打ち負かしたほどもの、壮絶な災禍が一族を襲ったということか? こういうことへの言い回しには向いている、さすがは“年の功”の桜庭が…何を訊こうとしているものかは、惣領様にも通じたようで。

  「その点については、我らの祖の中でも盛んに論じられて来たのだそうですが。」

 聖なる存在から地上を託されし“陽白の一族”と共に、世界を虚無に吸収させんと魔界から送り込まれる邪妖どもを打ち倒し、そういう方面へは非力な人々を守りし戦いに明け暮れた勇者たち。類い稀なる戦闘能力と何物をも恐れぬ雄々しき闘志とを、惜しみなく捧げた人々であったはずなのに。誰か固有の一人が実際に誉れをいただくような描写は一切なく、神話だというその中で“かつてかつて”と過去の英雄としての扱いしかされないのは何故なのか。そして、その最期が一片も伝えられてはいないのは何故なのか。
「後世に書き残すにはあまりにも惨いことが起きたのか、それとも…一族の名誉を損ねるほどもの、あまりに罪深きことであるが故に、隠しておかねばならぬような事態が生じたか。」
 だが。例えば、災害に際しての尊い犠牲になったなら、それを讃えぬ筈がない。語り伝えるにはあまりに凄惨な、酷いことが起きたにしても、何とでも言いようは工夫出来るはず。いっそのこと、尊き方々の戦いの記述の中からその存在をすっぽりと、抹消してしまうということだって出来ただろうに。そこまでの“否定”はされなかっただけの功績があった人々。そういった憶測と、それから。彼らを語る時には必ず冠された“戦闘民族”という謳い文句が示すその特長から、

  「どうやら…善からぬ方向へと特化し過ぎたことから、
   陽白の一族の方々からの怒りを買ったか裁定を下されたのか。
   それをもって、いちどきに滅んだのではなかろうかとされておりますれば。」

  「………っ!」

 本当にいた人々なのかという証明さえ覚束ないほど。あまりに太古のことゆえに、憶測の域を出ない解釈なのは致し方がないのだけれども。滅んだ人々としておきながら、なのに、その名といい活躍といい、完全には抹消されなかったという扱いもまた重視するならば。口伝史に書き残されただけの功績があった“事実”は、言い伝えに携わった人々にとって、黙殺までは出来なかったことだったらしいと偲ばれて。そして、そんな配慮から同時に推察されたのが、

  「陽白の一族からの裁定…。」

 成程、武勇の誉れ高き者らを滅ぼすことが可能だった存在は限られる。凄腕の敵対者たちか、若しくは…彼らが仕えたとされている“陽白の一族”くらいのものかも知れないという、その理屈は判るが、
「味方から滅ぼされた…ということですか?」
 それも、彼らが全力でもって仕えていた存在に? 何だかすぐには飲み込み難い話だったため、聞き手一同が戸惑うような気配を示す。それへと、
「健闘空しくも闇の邪妖に倒されたというのなら、その旨が悲劇としてでも語り継がれるはずですし、そういう人々の話も現に残っておりますれば。」
 闇の邪妖と陽白の一族の戦い、所謂“聖魔戦争”は、この世の始まりからという聖と魔の戦いに比べれば短かったらしいとは言え、それでも数百年にも及んだこととされておりますと惣領様は話を続ける。その苛烈な戦いの日々にあって生まれ出た彼らは、戦士の時期が長かったことから、戦闘への飛び抜けた特化を遂げた人々であったとしても不思議ではなく。その活躍を讃える伝承がたんまりと多いほど、かなりの特殊能力を身につけていただろう彼らだけが、一気に、しかもまとめて滅ぶほどもの災禍が突然降りかかって来たとは到底思い難く。
“だよなぁ。それが天災であれ敵からの攻撃であれ、そのまま陽白の一族にも同じ魔手は及んだ筈だし。それに…。”
 くどいようだが、そんな滅び方をしたのなら、その旨が哀しき物語として伝わっていてもいい筈だ。ずば抜けた強さを誉れとして語り継がれているほどの存在なのだから。となると、何らかの戦いという形で全員でかかったその末に、力及ばず打ち負かされてしまったのだと考える方が一番妥当。しかも、その戦いを言い伝えることが出来なかったのは…と推察すると、

  「…同士討ちだったから、そんな悲惨な事実は伝えられなかった、か。」

 彼らの力があまりに大きすぎ、制御かなわずというところからの悲劇が起きでもしたのだろうか。戦が済んで訪れる安寧の時代には、あっと言う間に“無用の長物”と化すのが戦士や軍隊なのは、どの国のどの歴史においても同じこと。戦いしか知らず、気性も荒かっただろう人々は、平和な世界では…もしかしたなら一番の無能でさえあるから。過去の栄誉も歳月と共に霞んでしまい、持て囃されることもなくなり…そうして何が起こったやら。あまりに遠すぎる過去のこと故、その点はそれこそ判らぬじまいなままに、伝説の存在となってしまいかかって彼らだったものが、
“こんなカッコで掘り起こされようとはな。”
 伝説語りに用いられし、ただの小道具だとするには。あのグロックスの持ち主・居場所の変遷ぶりは、あまりに物騒極まりない。多くは語らなかったというシェイド公だが、それを取り上げた相手、すなわち、そもそもの持ち主は進だったに違いなく。どんな事情かは不明なままながら、幼い彼がそのまま持っていてはいけないものだと断じたほどの、やはり不吉な品物で。そして…数年の後、そこに刻まれし紋章の示す一族と同じ特徴を持つ賊らが、この聖なる隠れ里を強襲し。それを奪ってそれから…本来の持ち主だった進をも迎えに来たと。グロックスを巡る事実だけを起こった順に並べると、そういうことになるのだろうか。
「ということは、奴らが“炎獄の民”とやらの末裔そのものらしいってことか。」
 自分たちの思想や活動へのシンボルとして担ぎ出した…というような、そんな甘いもんじゃあない。だって彼らは、

  「あの…。」

 それまでは皆さんのやり取りを聞いていただけというセナが、おずおずとながらも声を上げ、それへと視線を向けてくださった惣領様へ、
「あの真っ赤な瞳が、もしかすると彼らの滅びの原因かも知れないというのは、どういう意味なのでしょうか?」
 王城で最強とされていた進には及ばないながら、それでも近衛連隊長を務める高見さんの太刀を凍らせてしまった不思議な赤い眸。昨夜の戦いの場で、小癪にも一番口の回りがなめらかだった男の眸も、その“炎眼”とやらであったこと、この場にいる皆して目撃してもいる。
『鬼さえ凍らす魔性の瞳。夜空に輝く蠍星の赤を含んでて、力は月齢に左右されるものの、英雄たちの邪妖退治の手助けをしてくれた…ってな。』
 そうと紡いだ葉柱が、そのまま…炎獄の民の話には必ずその特徴の一つとして語られた代物、もしかしてそれがお前たちの滅びの原因ではないのかと、挑発半分に言ったその途端、詠唱なしの速攻にて、息が詰まるほどもの“気弾”を放たれたほどだったから。存外、的外れな見解ではなかったらしく。セナの言いようへと深く頷いてくださった惣領様、

  「それに関しても、確証となるだろう書物や何やがない状態ではあるのですが。」

 それでも確かに。炎獄の民のその強さの描写に、最も持ち出される特長なのだそうで、
「邪妖との戦いには不可欠な、咒を扱える者である印。それも、主に経絡封じの咒、相手の活動を凍らせ能力を封じる術を詠唱なく発揮出来る証しであるとされております。」
 言われてみれば。あの眸に見据えられた者は動きがままならなくなっている。外海出身の高見さんのみならず、咒には長けている筈の葉柱でさえ、咄嗟の攻撃を躱せなかったほどでもあって、
「それと同時に、禁忌とされていた“闇の咒”への接触を果たした者への目印だとする言い伝えも、わずかながら残っておりますれば。」
 だから。戦いへ特化していった彼らが辿り着いた先として、触れてはならぬ禁じ手へと手出しした可能性もあったのかもと…十分想定されはする。だから滅びたのだろうと言われたことで、それまでの余裕の態度をかなぐり捨てるように即座に攻撃を仕掛けて来た点も、ある意味での自白と見做せ、その事実を立証してはいないだろうか。

  「闇の咒…。」

 セナくんが蛭魔センセーから“黒魔法とは別物だ”と何度も注意を受けていた特殊な咒。治療や状態回復を担うヒーリング系、能力アップといった戦闘補佐系の白魔法と、炎や雷撃、突風に吹雪、直接攻撃が主である黒魔法。それらは、大地の気脈や大気の陽力エナジーを借りたり練ったりして繰り出すもので、形の無いものという“陰”に属すものではあるがそれでも陽の気に根差した代物だ。それらとは全く相反し、負の力を駆使するのが“闇の咒”で。元来“敵”である筈の、魔界の存在との契約を結ぶことで得られるとされており。出力・容量ともに無尽蔵とも言われているが、それと引き換えに、当然の報いとして陽の咒が天敵と化す。
“忌まわしきこと、魔物と同列となることに通じてるって判っているから、屈辱だと思ったとか?”
 もしかして、自分らは違うと言いたかったのだろうか? けれど、あの力の凄まじさはどうだろう。王城王宮内への侵入は、準備周到に構えた上で、鍛練を重ねた結果によって得た能力でも可能だったとして、だが。選りすぐりの導師様たちが3人掛かりで張っていた輻輳結界を、あれほどの短時間で突破出来た力はやはり只事ではなかろう。
「頭数が少なかったのは、淘汰を続けて遺して来た血だったからなんでしょうね、きっと。」
 こちらの陣営の、殊にセナや蛭魔という、光の公主とその腹心は。半分は聖なる存在だった“陽白の一族”の見守りし魂の復活先とされ、言わば“転生”を成したのであって。その身に流れる血の縁
えにしから、能力を直接の手渡しで遺されし人々ではない。それとは大きに異なって。神話の時代という気の遠くなるほどもの昔々から現世まで。息をひそめて脈々と、その血を、血統を遺して来た彼らだということであるのなら。さぞや選りすぐりのエリートたちの末裔なのだろうなと。実際の相手をした手ごたえを思い出しつつ、そうと思っての言いようを口にした桜庭へ、
「ですが、彼らには“統率”ほど苦手なことはなかったらしいのです。」
「…はい?」
 あれほどの能力を現存させつつ、ここまで生き残り果
おおせた事実を持って、血統がつないだものとすることに異論はないが、
「例えば、炎獄の民の赤い眸“炎眼”は、彼らの全てが持ち得るものではありません。」
 惣領様の仰有るには、闇の咒を使ったという事実が語り継がれていないのは致し方ないとして、問題の“炎眼”に関しても、その強さについての描写もバラバラならば、族長や主立った家の血筋だから強いということもないほどにアトランダムだったとされているのだそうで。
「それに、個としての力が飛び抜けて強い分、自分の戦闘力への自負が強すぎて統率力や指導力というものに欠け、瞬時の勘は鋭いが大局を読むのは不得手だったそうですし。」
 中央に身を置いて各地の戦局を睨み、個々の戦線へ統合的な采配を振るう将軍となるより、むしろ白兵戦などの実戦の場へと送り出されることが多かったし、それを彼らも好んだとか。
「能力が高い者は地位が上だとか、大勢を率いる役回りになるとか、そういうことはなかったのですか?」
「彼らは最終決戦となった地上にての聖戦に於ける即戦力、所謂“英雄集団”として促成特化した戦闘民族だと思われます。大将だから殿
しんがりで待機し戦況を見るというような、そんな“戦略”型の戦いは担当しなかったし、念頭にもなかったようです。」
 名将に仕え、戦場で思う存分立ち働くことこそが彼らの存在意義
アイデンティティーであり。その場その場の勝利をもぎ取る戦術に長けていた、まさに炎のような人々であったらしく、
「…そんな人たちが、何とか少数生き延びたとして。」
「ええ。どうやって現代まで、そのモチベーションを保ったままに居られたのか。」
 聞きようによってはたいそう失敬な物言いかもしれないが。ともすれば破滅的でさえあったらしき民が、命からがら逃げ出せたのを幸いとし、心根を入れ替えて細々と生き延びようとしたということなのだろか。だとしたら…その結果として生き延びた末裔たちが、何でまた今になって、こうまで苛烈な行動を起こしているのだろうか。
「彼らが関わった戦の後には、あまりの苛烈さに…冗談抜きに草一本残りはしなかったとか。」
 惣領様のお言葉には、こちら側で話の聞き手となっていた葉柱・次男もまた、感慨深げにうんうんと頷いており、
「乱暴さ豪力さは凄まじかったけど、それでも俺にとっては“英雄”だったのにな。」
 滅んだ存在であったという描写までが、豪火のように激しくも短き英雄の生きざまの、華々しさを引き立てる儚き部分を示していたようで。葉柱・次男としては彼なりに憧れてもいたらしく。実家に戻ったという気の緩みも手伝ってか、ちょっぴり萎んで見せた彼へは、
「別に“だから悪党だった”って言ってる訳じゃあなかろうよ。」
 あの蛭魔が宥めるように肩をどやしてやったのも、なかなか珍しい眺め。ともあれ、これで此処に来た目的は果たせて。謎めいてばかりいたあの襲撃者たちの素性が、これで少しは見えて来た模様。

  “進の素性の方へは、逆に謎が増しちゃった感があるけどね。”

 とんでもない過去と縁
えにしを持っていたらしき騎士様であり。一体何処にいるやらということにも増して、彼が背負いたる何かの謎も、解かねばならない事態なのかも。亜麻色の髪、暖かき色合いに染め上げた白魔導師様の見やった先では、暖炉の中で大きな薪が、真っ赤に燃えつつ息づいており。ますますの不安に言葉を無くした小さな公主様の横顔へ。せめて温もって下さいと、赤々とした暖かな光を投げかけているばかり………。











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  *うが〜〜〜〜っ!(苦笑)
   いやもうホンマに、理屈の多いお話だなと、書いてる側でも思います。
   早いとこ、進さん出てきてよ。
   セナくんに笑顔を早く取り戻してあげてよと、書いてる当人からして思います。